LaLa Gift 代表の松本恵です。 LaLa Giftはお子さんの幸福感を高め、自己肯定感を育てる名前入りのうたを
お届けするサービスですが、私はピアノ教師でもあります。
ピアノ教師としては音大の学生時代にアルバイト感覚でやっていた出張教師時代、青年海外協力隊に参加してコロンビアの音楽学校で教えていた時代などを含めると、通算で30年くらいになりますので、こちらの方が本業といって良いでしょう。
この四半世紀は自宅マンションの1室でアップライトピアノ1台を道具に、たぶん150人くらいの子ども(と何人かのおとなの方)にピアノの手ほどきをしてきました。 近年はとくに、ピアノ教室のホームページを作ったのが功を奏したのか、常に50人以上、時にはマックスに近い60人くらいの生徒さんが通ってくれています。
「子どもにお試しレッスンを」と来られる方は、ご紹介やクチコミと、ホームページ経由の方がほぼ半々。先日、ホームページ経由でこの小さな教室に興味をもたれた方はこんなふうにおっしゃっていました。
「小さな成功体験を重ねることで自己肯定感を高める、と先生のホームページに書いてあったのがとてもいいな、と思いました」 伝えたいことが伝わった!と、とても嬉しく感じました。 そうなんです、アップライト1台の小さなピアノ教室がめざすのは、コンクールに入賞するような生徒さんを育てることではなく、まずは音楽を好きになってもらうこと、そして、ピアノレッスンを通じて小さな成功体験を重ねることで自己肯定感を高め、「やればできる!」の実感をもってもらうことなのです。
成功体験がチャレンジ精神を育む
「やればできる」の反対は、「どうせやってもムリ」でしょうか。何かにチャレンジする前から「どうせムリ」と尻込みするような子どもを育てたいと思っている親はいないと思います。小さな成功体験を重ねることで「やればできる」の感覚が身に着けば、ピアノだけでなくすべての学習や新しいチャレンジなどに積極的に取り組める可能性が少しでも高まると私は信じています。
もちろんメンタル面だけでなくピアノ演奏のスキルを高める工夫もこらしていますので、習い始めて3年目くらいで発表会で「エリーゼのために」を弾く子などもめずらしくありませんが、いずれにせよ「ピアノって楽しい!」「ちょっと頑張ったらこんなに弾ける!」と日々感じてもらうのが出発点です。
ピアノレッスンを通じて、小さな成功体験をたくさん積ませるにはどうしたら良いのでしょうか。 長年、子どもたちと向き合ってきたなかで生まれた工夫がいろいろありますので、 それは追々、ブログでお伝えしていきたいと思いますが、キーワードはまずは「スモールステップ」です。
育児・指導に効果的な「スモールステップ」
スモールステップというのは目標、ゴールまでの道のりを細かく段階ごとに分けて、一つ一つ習得していこうという考え方です。今はビジネスシーンなどさまざまな場で使われていますが、もとは教育用語だそうです。 私がこの用語を知ったのは、発達障害の息子が幼かった頃のこと。育て方をいろいろさぐるなかで療育の専門家から教わったのが最初だっと思います。
定型発達の子なら自然に覚えていくこと、身に着けていくことがなかなか難しかった息子のために、いろいろと試行錯誤していた時代。「これが本当のスモールステップか!さすが専門家のわざ!」と驚嘆したことがありました。少し特殊な事例ではありますが、ご紹介します。 当時、息子は3歳前くらいだったと思いますが、口から出るのは少しばかりの単語のみで、なかなか2語文が出ませんでした。 ある病院の発達外来の先生にそう伝えたところ、その場で、「やってみましょう」と指導してくださることに。 先生は2語文を話せるようになるには「ちょうだい」という言葉を覚えるのが近道とおっしゃいます。 そして幼児が大好きなボールを転がすおもちゃを出しました。 タワーの上からボールを転がすとクルクル回りながら落ちてきて、コトンと音を立ててゴール、というタイプのおもちゃです。 息子の前でやってみせると案の定、興味津々。自分もやりたくなってボールに手を伸ばしますが、先生はすぐには渡しません。 手を伸ばす息子に、ゆっくりと「ちょうだい」と言ってから渡します。 先生はそれを何度か繰り返したあと、ボールを渡すときに「ちょう…」だけ言って、待つこと数秒。 すると何回めかに息子の口から「…だい」が飛び出しました!もちろん先生はすぐにボールを渡します。それを繰り返した後、次の段階は、「ちょう…」も言わずに、息子の手にボールを渡そうとしながら無言で待つこと。ハラハラ、ドキドキしながら見守っているとやがて息子は「ちょうだい!」とはっきり言ったのです。大成功です!
本当に驚きました。 ボールを転がす遊びを見せるところから始めて、「…だい」と言わせ、「ちょうだい」と言わせるまでたしか20分くらいだったと思います。 目標は2語文ですが、「ちょうだい」の意味がわかって言えれば、「あれちょうだい」、「パンちょうだい」というふうに2語文が出やすくなるということで、本当に小さな、でもいちばん大事な最初のいくつかのステップを、シロウトには思いつかないような方法で、先生はやってみせてくれたのです。 息子がその後すぐに2語文を話せるようになったかというとそう簡単なはなしではなくて、ゴールまでのステップはまだまだ続くわけですが、こういうアプローチがあるのか、と目からウロコの経験でした。 療育を通して学んだことは本当にたくさんあって、実はピアノ指導にもいろいろと生かしているつもりですが、なかでも「スモールステップ」の考え方は遠回りなようでも確実に前進できるアプローチとして根付いています。 障害のあるなしに関わらず、基本的な考え方はすべての子どもに生かすことができます。私は「スモールステップ」とか「行動療法」(これはまた別の機会にお伝えします)的なアプローチでピアノ指導するとき、相手が障害児かどうかは関係ありません。 また、私には息子をはさんで2人の娘もいて、3人育てましたが、娘たちの育児にも療育を通して学んだことを大いに活用してきました。療育とふつうの育児とピアノ指導。やることは違いますが、根本的な考え方は同じです。
スモールステップで小さな成功体験を積んで自己肯定感を高め、「やればできる!」のポジティヴマインドを育てること。
子育てが終わった今も、ピアノ教師として私がとても大切にしている思いです。 松本ピアノ教室 in 平井 https://megumatsu009.wixsite.com/mysite
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